夜のしめやかな願い
「どうして私に手を出したの?
オミなんて不自由しないじゃない」
この状況で聞かれるとは思わなかったのだろう。
珍しく戸惑った表情を見せた。
それも一瞬だけで、すぐにいつもの冷めた顔になる。
「職業柄、商売にしている女に手を出したらまずいだろ」
わかりきったことを聞くなという口調だった。
「今までみたいに、寄ってくるのを相手にすればいいじゃない?」
「この職業で、短期間で、何人もとっかえひっかえしているのがバレたら、スキャンダルだろ。
かと言って、人数が少ないと、勝手に期待をしはじめて、うっとおしい」
やはり予想通りの答え。
実に宗臣らしい。