夜のしめやかな願い
でもそれを、どこか冷たい感じがしても、柔らかな王子顔が身も蓋も無く言うと、品が悪すぎた。
さゆりが思わず眉根を寄せる。
「借金相手に寝ているってばれる方が相当スキャンダルじゃない?」
「その時は結婚すればいい。
婚姻の法定年齢は過ぎているんだから問題ない。
不憫に思った幼馴染が結婚を前提に、生活から学費から面倒をみているんだって美談を流すさ」
「うっとおしくなるからって言うのに、私と結婚する羽目になったっていいの?」
「おまえは。
うっとおしくならない」
さゆりの耳元で囁いて、耳たぶを食んだ。
いつの間にそこが弱いって知ったんだ。
恐るべし。
思わず体を震わせると喉の奥で笑っている。