夜のしめやかな願い

「はい」

宗忠は厚い封筒を差し出す。

よくある毛筆で宛名が書かれた封筒。

なぜか連名で宗忠とさゆりの名前が書いてある。

「倫子さん、気にしちゃっているからね。
 僕が自分のせいで勘当されたんじゃないかって。
 そうは見えないんだけど、内面でいじいじ気にしてんの。
 かわいいよね~」

愉快そうだ。

時々、この弟の感覚がわからない。

今のどこが“かわいい”のポイントなんだ。

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