夜のしめやかな願い

こいつは知らないだろう。

振り返った宗臣は腕を伸ばして、さゆりをゆるりと抱き寄せた。

いつだって、宗臣にとって、ほんのりと光る希望なことに。

「えぇー・・?」

さゆりが戸惑ってうろたえているのに宗臣は表情をゆるめる。

少しだけでいい。

もうしばらくだけ、このままでいたかった。

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