夜のしめやかな願い

      *

いつも通り、おにぎりを届けて、オミが淹れてくれたインスタントコーヒーを飲んでいると、結婚式の招待状を見せられた。

なんで、宛名書きがオミと連名なんだろう。

さゆりはむむっと考え込む。

「宗忠が結婚する」

ああ・・・そうか。

表情がするっと落ちてから、寂しさがこみ上げる。

なんだかんだ言って、内藤3兄弟は、さゆりのことを女性の中では一番、気にかけてくれていた。

宗雅が結婚して、一人抜け。

今度は宗忠が結婚して抜ける。

いつかは宗臣もだ。

そして本当に一人になる。

突然襲われた孤独感に、さゆりは泣きなくなった。

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