夜のしめやかな願い
宗臣は見抜いているのだろう。
わざわざぐちゃぐちゃに頭をかき回すようになぜた。
いたわりの言葉は何も口にしなかった。
さゆりの気持ちが上向くような、なぐさめの言葉も何一つ、くれない。
「ストップ」
さゆりがぺしりと、いつまでもかき回している宗臣の手を叩く。
やっと手を離した宗臣と目が合う。
さゆりはぷっと笑ってしまった。
物凄く心配そうな色なのだ。
宗臣はふっと視線を外すとおにぎりを口にして、なんでもないように仕事を再開している。