夜のしめやかな願い

さゆりは口元を緩めて髪の毛を指ですきながら、心が温まったのを感じた。

これから先はわからないけれど。

なんとかなるような気がした。

きっと。

そして、夏も終わりになろうというころ、結婚式は行われた。

「うっわ」

バージンロードを宗忠の腕に手を置き、歩く倫子を見て、さゆりは思わず呟いた。

ベアトップのドレスはボディーラインに沿い、曲線美を最大限に活かしたデザインだ。

日本人では中々見ない、恵まれた体型を存分にアピールしている。

宗忠の希望ががっつり反映されたらしい。

倫子は強硬に嫌がったと聞いた。

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