夜のしめやかな願い

「とぉ~」

齢2歳にしてこの甘い声。

やっぱり、血だろうか、おそるべし。

「父親はこっちだろ」

宗臣はむりやり剥がすと、宗忠に押し付けた。

「はい、美倫(みり)ちゃん。
 だめだよ~、男を見る目を養わないと」

宗忠は甘~い顔と声で、美倫の頬に軽くキスをした。

「やっ」

美倫は宗臣の横面を全力で押し、顔を背けている。

さゆりは残念なものを見てしまった気になる。

いつものことだが、宗忠は妻子が絡むと、実に残念な男になる。

そして美倫は間違いなく男を見る目はある。


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