夜のしめやかな願い
「じゃ、宗忠。
時間が間に合わないから、また」
宗臣にしては珍しく、口早に言うと、さゆりの手をつかんで引いていく。
確かにこれから結婚披露宴の打ち合わせが入っているのだが、その時間というよりも熱烈なスキンシップに懲りた様子だ。
さゆりは苦笑しながら宗忠たちに手を振った。
美倫は、悲壮な顔で宗臣へと手を伸ばしていた。
それを見もしないで、宗臣はらしくない長い溜息をついた。
「いいじゃないの、伯父さん。
かわいい姪っ子に好かれて」
冷ややかにちらりと見降ろされた。