夜のしめやかな願い

宗臣はあきれたように一瞥し、宗雅は鼻先で笑った。

「いいか、せめて、ひと月2人に絞り、月ごとに新しく入れ替えろ」

宗雅が真剣な顔で諭す。

宗臣はため息をついた。

「同じ穴のむじなだな」
「いやいや兄さんもそうじゃないか」

嫌そうな一瞥をくれてやる。

「さゆさゆに手を出したのに、後、二人いるじゃない」

いつもの宗忠の軽い口調だが、目が真剣だ。

でもその色は嫉妬ではない。

単なる幼馴染への心配だ。

これが嫉妬だったら、もっと物事は簡単なのに。

宗臣はままならない世の中だと、ため息をついた。

< 20 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop