夜のしめやかな願い

         *

宗臣は定期的にさゆりの元を訪れるわけではなかった。

来ることが多いのは週末。

そしてその時になんとなくわかってしまうのだ。

ああ、今週は誰かと寝たんだな、って。

さゆりの所に来る直前じゃないし、前日でもない。

その週のどこかの平日。

それなのにわかってしまう。

言われる通り、女の感って侮れないと実感する。

キーっと嫉妬することは無いのだが。

いやいや、子豚が何を言っているんだ。

あたりまえだろう。

さゆりは胸の内で突っ込んだ。

ふっと思う。

オミが相手をする女ってどういう感じなんだろう。

自分との間には甘いものが全くないから、どういう雰囲気をオミが醸し出すのか興味がある。
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