夜のしめやかな願い

     *

さゆりがバイオリンを習うきっかけになったのは、やはり内藤3兄弟だった。

宗臣はピアノ。

宗雅はバイオリン。

宗忠はフルートを習っていた。

さゆりがバイオリンを選んだのは不純だ。

本当は宗忠と同じフルートにしようと思っていた。

だから幼稚園で砂場遊びをしている時、たーちゃんと一緒に習うと言ったのだ。

それに対して宗忠が、“さゆさゆはバイオリンが似合うと思うよ、おっきくなったらデュエットしようね”とキラキ
ラ笑顔で言ったからバイオリンになった。

そういいながら、その後、あっさりとフルートをやめている。

末っ子らしく、天真爛漫に周りを振り回すのは昔からだ。

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