夜のしめやかな願い

「駅からちょっと歩いたところにある、レンガ張りの音楽教室」

しばしじっと見つめられ、頭の中では検索がされているのだろう。

「ああ・・・」

するりと服の下から手が滑り出て行った。

あ、しないのか。

残念になって目で宗臣の手を追ってしまった。

「どういう条件なんだ?」

やっぱり、そこを突いてくるよね。

さゆりは観念して、ちょっとだけ内容を盛って、ぼそぼそと報告した。

微妙な目で見られて、ため息をつかれる。

「で、でも。
 ちゃんと生活できそうだし、オミに借金もかえせるから」

力強くいうと、半眼になった。

「2世代ローンになりそうだな」

厳しい・・・。

予想を上まった返しだ。

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