夜のしめやかな願い

「映画見たい。
 その後、買い物して、食事したい」
「いいよ」

宗忠がくすくすと笑って柔らかく言った。

「何見たいの?」
「ええとね」

しまった、何も考えていない。

「恋愛もの」

宗臣だと途端に顔を冷ややかな視線と声で刺されることだろう。

でも宗忠は違う。

「さゆさゆらしいね。
 いいよ」

ほら、こう言ってくれる。

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