夜のしめやかな願い
宗臣は薄い笑いを浮かべた。
「ばかばかしい。
何事かと思えば。
そんなことか」
野田はぐっと黙り込んでから、軽薄そうに笑った。
「ああ、そんなことだ。
おまえは写真を出しても、修正だと言うだろうし、話もでっちあげだというだろう?
それで結構だ。
週刊誌に送るだけ。
この頃、ネタがないらしいからね」
宗臣は黙って見据えていた。
野田の背筋は凍るようだったが、続ける。
「おまえの家を恨んでいる奴らは、それなりにいるんだよ。
掲載してくれるところは、どこかしらはあるんだ。
アバウトでも記事が載ればいい。
ネットだってあるしね。
詳細は世間が勝手に固めてくれる」
しばらくの沈黙後、笑ったのは宗臣だった。