夜のしめやかな願い

「なるほど。
 話は以上か?
 なら失礼するよ。
 忙しいんでね」

宗臣はあっさりと答えると再び歩き出す。

いや、急に忙しくなったの間違いか。

「おい」

声かけた本人は立ち止ると思わなかったが、宗臣は立ち止り、顔を向けて、にこやかに笑った。

「感謝する」

思わぬ礼。

野田はまた負けた気がして歯噛みをした。

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