夜のしめやかな願い

根が悪くないだろうが、どうでもいい。

なるべく関わらないように職場では避けまくって生活していた。

あれは、そう、あれだよ。

さゆりはポンと手を打つ。

さゆりと犬猿の仲である、宗雅と同じタイプ。

そう思っているのはさゆりだけで、宗臣と宗忠はじゃれあっているとしか見ていなかったし、宗雅に至っては、“こいつ、おっもしれ~”なのだが。

さゆりはその後も人としては避けていたが、啓が練習している演奏や、レッスンなど機会があった時には耳を澄ませていた。

演奏は本当に素晴らしいと敬服する。

「そうそう、だから、さゆりちゃん。
 啓とデュオよろしくね」

唐突の話の降りに、さゆりは口を開けて呆けた。

だからってなんだ。

デュオって?

< 52 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop