夜のしめやかな願い
根が悪くないだろうが、どうでもいい。
なるべく関わらないように職場では避けまくって生活していた。
あれは、そう、あれだよ。
さゆりはポンと手を打つ。
さゆりと犬猿の仲である、宗雅と同じタイプ。
そう思っているのはさゆりだけで、宗臣と宗忠はじゃれあっているとしか見ていなかったし、宗雅に至っては、“こいつ、おっもしれ~”なのだが。
さゆりはその後も人としては避けていたが、啓が練習している演奏や、レッスンなど機会があった時には耳を澄ませていた。
演奏は本当に素晴らしいと敬服する。
「そうそう、だから、さゆりちゃん。
啓とデュオよろしくね」
唐突の話の降りに、さゆりは口を開けて呆けた。
だからってなんだ。
デュオって?