夜のしめやかな願い
「いえいえ、そんな私ではおこがましいです」
さゆりはにっこりと笑って見せた。
「じゃ、曲を考えておくわ」
冷水器からの水を飲み終わると、啓は紙コップをくしゃっと潰してゴミ箱に放った。
ナイスシュート。
さゆりは胸の中で呟く。
外したら、笑ってやろうと思ったのに、くやしい。
って、行ってしまった。
今、追いかけても意固地になられそうだ。
誰かに代わりを頼んで、頃合いを狙って話してみよう。