時計の針は僕と君。
「おい絢香もう家出るぞ。」
彼のその声を聞いた私はもうそんな時間か、と携帯で時間を確認した。そこには私のブログへの通知がずらりと並んでいて少し優越感のような浮かれた気持ちになる。
はーい、と返事をして携帯をポケットにしまった。
___________
それはまだ高校1年生の春。
まだ入学したばかりだった私は隣の席だった長瀬聡美に連れられて[ ZEBRAis -ゼブライズ- ] というバンドを見に行く事になった。
ライブハウスに着くと女の子達は床に座り化粧直しをしていて、聡美も空いてるところに座ると一日の授業で崩れてしまった化粧を直し始める。私は直すほどの化粧をしていないし人が大勢いる所でそのような事をするだなんて考えられなかったのでその場で呆然と立っていた。
しばらくすると流れていた曲の音が大きくなり女の子達が立ち始める。ゆっくりとあがる幕とスモークに包まれそこにいるゼブライズのメンバー。
黒髪長髪の人がドラムのスティックでリズムを刻むと女の子達はみんな構えた。そして緑髪の少し背の低いボーカルが「お前らいくぞ」と低い声でそう叫ぶと女の子達はヘッドバンギングを一斉にはじめる。私はその中でひとり立ち尽くしていた。
暫くするとMCが入りメンバーは自己紹介をはじめる。先程のボーカルはタツミ、ドラムはナツキ。という名前らしい。そして赤髪の背の高いギター兼ボーカルはミズキ。青髪の女装をしたベースのマキ。メンバーは四人でツインボーカル。タツミの誰もが魅力される低い声とミズキのよく通る高い声が綺麗に混ざり合い心を奪われそうだ。
MC明けの曲、またヘッドバンギングがはじまる。私はわからないのでまた立ち尽くすがそこで時が止まった気がした。ボーカルのタツミと目が合ってウィンクされたのだ。ドキリ、と心臓が早くなる。周りに気づかれては居ないだろうか、よく思わないファンもいるのではないか。一緒にきた聡美はタツミが好きだったはずだし、タツミの目の前にたっている女の子もずっとタツミを応援してきたんだろう。一瞬でそのようなことが頭をよぎる。でも目をそらせずにしばらく見つめ合っていた。
ライブハウスを出る時にまた来よう。そう思った。
彼のその声を聞いた私はもうそんな時間か、と携帯で時間を確認した。そこには私のブログへの通知がずらりと並んでいて少し優越感のような浮かれた気持ちになる。
はーい、と返事をして携帯をポケットにしまった。
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それはまだ高校1年生の春。
まだ入学したばかりだった私は隣の席だった長瀬聡美に連れられて[ ZEBRAis -ゼブライズ- ] というバンドを見に行く事になった。
ライブハウスに着くと女の子達は床に座り化粧直しをしていて、聡美も空いてるところに座ると一日の授業で崩れてしまった化粧を直し始める。私は直すほどの化粧をしていないし人が大勢いる所でそのような事をするだなんて考えられなかったのでその場で呆然と立っていた。
しばらくすると流れていた曲の音が大きくなり女の子達が立ち始める。ゆっくりとあがる幕とスモークに包まれそこにいるゼブライズのメンバー。
黒髪長髪の人がドラムのスティックでリズムを刻むと女の子達はみんな構えた。そして緑髪の少し背の低いボーカルが「お前らいくぞ」と低い声でそう叫ぶと女の子達はヘッドバンギングを一斉にはじめる。私はその中でひとり立ち尽くしていた。
暫くするとMCが入りメンバーは自己紹介をはじめる。先程のボーカルはタツミ、ドラムはナツキ。という名前らしい。そして赤髪の背の高いギター兼ボーカルはミズキ。青髪の女装をしたベースのマキ。メンバーは四人でツインボーカル。タツミの誰もが魅力される低い声とミズキのよく通る高い声が綺麗に混ざり合い心を奪われそうだ。
MC明けの曲、またヘッドバンギングがはじまる。私はわからないのでまた立ち尽くすがそこで時が止まった気がした。ボーカルのタツミと目が合ってウィンクされたのだ。ドキリ、と心臓が早くなる。周りに気づかれては居ないだろうか、よく思わないファンもいるのではないか。一緒にきた聡美はタツミが好きだったはずだし、タツミの目の前にたっている女の子もずっとタツミを応援してきたんだろう。一瞬でそのようなことが頭をよぎる。でも目をそらせずにしばらく見つめ合っていた。
ライブハウスを出る時にまた来よう。そう思った。
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