あなたは呪いの本を信じますか?〜呪いの連鎖劇〜
結果

「由衣、早く起きなさい!遅刻するわよ」
お母さんに起こされるなんて何年ぶりだろう。
「う~ん、時計時計。えっ!ヤバい寝坊した!」
時間は今から急げばギリギリ間に合う位の時間。昨日は今日が楽しみすぎて眠れなかった。だから寝坊したのだろう。
「朝ごはんパンだけどどうする?」
「分かった、食べながら行く!」
「行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
私は期待にそのあとパンを食べながら学校に走って行った。着いたのは、登校時間の2、3分前。教室はまだ先生が来てなかった。私が自分の席に着くとちょうどのタイミングで予鈴がなり先生が入ってきた。先生の顔は誰が見ても分かる位疲れた顔をしていた。
「昨日、松村さん一家が事故にあったらしい。そして両親が亡くなった。松村さんも怪我で入院している。松村さんと仲の良い子もいるでしょ。病院にお見舞いとか行ってあげてね」
やっぱり明日菜の両親が死んでいる。本の効果に気付いた早苗が私を見ているのに気付きブイサインを送る。早苗も返す。
休憩時間になると皆、明日菜の事を話していた。すると美玲がクラス全員に聞こえる声で
「美玲的には、万引きした犯人に天罰が下ったんだと思うな~」
「確かに!絶対そうでしょ」
「ざまあみろっての」
美玲の周りにいる子達も意見に賛同する。美玲は言いたい放題明日菜の悪口をいっている。クラスの子の中にも明日菜の悪口をいっている子は少なくない。
「スゴイ言われようだね」
「仕方ないよ、私達のせいじゃないし」
「だよね、呪いの本のせいだしね」
「そうそう、だから気にしなくて良いの」
2人で納得していると、誰かが明日菜死ねば良いのにといったのを聞いた。そういえば鞄の中には呪いの本が入っている。
「早苗、明日菜死んでほしいと思わない?」
「え?由衣、本気?」
「何で嘘つかないといけないの?」
「いや、普通に驚いただけ」
「で、どうする?」
「今、本あるの?」
「うん、鞄の中」
「なら、良いんじゃない?」
「じゃあ、今日の昼休み屋上ね」
「了解」
予鈴が鳴り、立っていた子達が次々と席に着く。先生が教室に入って来て何事もなかったように授業が始まる。私は、明日菜をどうやって殺そうかずっと考えていた。
昼休みになり、早苗と一緒に教室を出て屋上に向かう。屋上に着くまで2人とも無言だった。
「明日菜、どうするの?」
屋上に着くと振り向いて話しかけてくる。
「また、事故死?でも同じだとつまんないよね」
「今の明日菜の状況で説明がつく殺し方か」
「精神自殺とかは?」
「あー、良いね。明日菜の精神いかれてそうだし案外平気かもね」
「じゃあ、決定?」
「うん、決定」
「了解、書いとくわ」
【松村明日菜が病院で精神自殺する】
「いつ実行されるかな?」
「さぁ、明日くらいには死んでんじゃない?」
「楽しみ~!」
「私もだよ」
私は、明日明日菜が呪いで死ぬことを楽しみにしていた。それは早苗も一緒みたいだった。
いつも通り午後の授業が終わる。ホームルームが終わると早苗と合流し、下駄箱の前で待っていた幸太とも合流。いつものメンバーで下校する。いつも通りの日々。大切な時間。私は守るよ、この本がある限り。
< 10 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop