あなたは呪いの本を信じますか?〜呪いの連鎖劇〜
虐め

学校に着くと、教室はいつも通りだった。明日菜はまだ来てない。私が席に着くと早苗が教室に入ってきた。早苗も私に気づいてこっちに向かってきた。
「あの本に次は何書いたの?」
「まぁ、明日菜が来たらわかるから楽しみにしてて」
私はきっとその時万年の笑みをうかべていただろう。早苗と話しているといつも明日菜と一緒にいた子達が1人1本油性マーカーを持って明日菜の机に何か書き始めた。そして、その中でも1番目立つ美玲が
「皆さ、明日菜の事無視してね!絶対だよ、破ったら同じ目にあうから」
と、大声で言う。皆は、返事をしたり頷いたりしている。
「ありがとー、明日菜には言いたいことが山程あるからさ」
嬉しそうに笑っている美玲。その後は、予想通りだった。明日菜が教室に入ると皆が明日菜の事を避けた。明日菜が声をかけても知らん顔したり、その場から立ち去ったり、皆いろいろな方法で明日菜を無視した。明日菜は、自分の席の前で立ち尽くしていた。私は、横を通る振りをして内容を確認する。机には万引き犯や泥棒などいろいろな暴言が書かれている。明日菜は鞄を置き走って行った。
「アハハ、ザマーみろっての」
と言い美玲達が大爆笑。他の子が鞄から接着剤をだし明日菜の椅子にどんどんかけていく。接着剤がからになったころチャイムが鳴り、明日菜が帰って来た。先生も入って来た。明日菜は椅子に座ろうとしない。先生が
「松村さん、早く座ってください」
と、怒り気味に言われ何も言わずに座った。ベチョという音が聞こえたけど、先生には聞こえていなかったのか何も言わなかった。
明日菜はその後号令以外は椅子から立たなかった。接着剤のついた椅子は立つとバリバリ剥がれる音がする程だったから立ちたくないのかもしれない。誰も明日菜の事を助けることはなく、放課後になった。ホームルームが終わり先生がいなくなるとすぐに美玲が明日菜の所に行き、机をバンッと叩く。気にすることもなく帰りの準備をする明日菜。
「明日菜ちゃん、いや明日菜万引きしたのによく学校来れたね?」
「そうだよね。逆にすごいわ」
と、明日菜をけなす美玲達。明日菜が言い返さないかと期待していると明日菜が立ち上がった。パリパリと剥がれる音がするスカートを気にすることもなく
「何よ!今まで私の後ろをいつもついてきてたくせに」
「うるさい!泥棒のくせに」
と言うと美玲が明日菜の事を突き飛ばした。明日菜は机に手をぶつけてしまった。見ると爪から血が出ている。爪が割れたらしい。
「やだ、犯罪者の血が床に付いちゃった。汚いから早く綺麗にしてよ、明日菜」
美玲は明日菜に命令した。けど、明日菜は
「はぁ?何で私が綺麗にしなきゃいけないのよ!あんたが突き飛ばしたからこうなったんでしょ!あんたのせいよ、するならあんたがしたらいいじゃない。じゃあ頑張って」
と言い残し、教室を出ていった。美玲の機嫌は一瞬にして悪くなり明日菜の机を蹴り飛ばす。
「あのくそ女ふざけんじゃないわよ」
「ただじゃおかない。この美玲様がくそ女を片付けてやる。
皆、朝イチに学校に来れる人は明日朝イチに来て。仕返ししてやるから、お願いね!」
と、笑顔をクラスの皆に向け、帰る準備を始めた。美玲が怖いのか皆何も言わなかった。美玲が帰り際に
「言い忘れてた。明日朝イチに来れる人は家にあるだけの画鋲持ってきてね」
それだけ言い残すと足早に教室から出ていった。


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