今日から夫婦を始めました
確かふとんは、この段ボール箱の中に入っていたな。

“ふとん”と書いてある段ボールを開けて、実家から持ってきたふとんセットを取り出した。

階段をのぼってロフトに行くと、ふとんを置いた。

ふとんを敷くと、すぐに横になった。

少し前のこの時間と言えば私は働いていた。

「これからはもう働かなくていいんだなあ」

生活費を含めるお金は全て北居くんが稼いでくれるのだ。

私がやることと言えば、彼の妻を演じることである。

「お互いのお互いによるお互いのための結婚――我ながらいい案だな」

仕事を辞める口実として思い浮かんだのは結婚だった。

もう働きたくない、だけども仕事を辞めたいと言う理由で婚活するのはあまりにも理由がクズ過ぎる。

そんな私のところへ現れたのが北居くんだった。
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