森の妖精と団長さん
「いいでしょう。エマ様には恩がありますから。」
彼の…シエルさんの馬に乗り私も連れて行ってもらえることになった。
1番重症だった彼はウィルという青年で道中、私にたくさん話しかけてくれた。
彼らが何者なのかは、はっきりとは分からないけど恐らく戦うことのできる人たちだと思う。
昨日の傷と彼らが腰に身につけている剣を見れば、戦いで出来た傷だったのだと分かる。
「シエルさん、どこに向かっているんですか?」
「これから王都に向かいます。」
王都!
森にずっといた私は本でしかこの国のことを知らない。
本によると、この国はワイルデンという名前で割と力のある大国だと書いてあった。
そして王都についても少しだけ、物や人の流れが多く、活気のあるところだと書いてあった。
森から出たことのない私にとっては何もかもが未知の世界でワクワクが止まらない。
「エマ様、王都は初めてですか?」
「はい!王都どころか森から出るのは初めてです!」
「そうなんですね。では、時間がある時に私が案内させていただきます。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
そんな話をしながら初めて見る森の外の風景に目を奪われる。
初めて見るその風景を目に焼き付けながらも、だんだんと速くなっていく馬から落ちないように必死にシエルさんにしがみついていた。