森の妖精と団長さん



「ふふ。ルカもやっと人間らしくなったんだ。エマちゃんを逃すなんてヘマしたら、どうする?カイ」



側に立ってるカイに笑って話しかければ



「ルカ様のこともですが、貴方様もですよ。何年も温めてきた思いをこじらせてるんですから。王がせっかく集めてくださったんです。覚悟を決めてください。」




こじらせてる。か…

カイの言う通りだ。
覚悟を決めず、ふらふらと年を重ねて、舞い込んだ縁談も仕事を理由に断り、ここまできてしまった。



20を超えて、呆れた父親に聞かれた

『誰か良い人がいるのか。いないのなら花嫁候補として王宮に独り身の貴族の娘を集めるぞ。』



そして、今回集まった10人の花嫁候補


「そろそろ行きますよ。」


僕の中には昔から1人の女の子しかいない。




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