森の妖精と団長さん



「ぜひ、ごゆっくりなさってください。」


そう言って部屋を出て行こうとするセアを呼び止める。


「エマはどこにいる。元気にしているか。」


「…エマ様は、あなたの回復をただひたすらに願っておりました。」

それだけ言って出て行くセア


「ルカ、これは俺からの提案なんだけど…世間はレーガン家の噂が広まってて混乱してる。レーガンは王にも近い存在だったからこそ、この問題は早く解決しないといけない。それに、ルカ自身もそろそろだ…。」


シエルの言ってることは分かる。
一刻も早くこの問題を解決するのが最優先だ。


でも、頭に浮かぶ真っ白なドレス姿
ロイドの花嫁として着ていたのが気にくわないが、見るものを惹きつけるあの姿

ロイドと親しくやってるように見えて頭に血がのぼり、自分を抑えきれなかった。


おそらく何も知らない、あの純粋な人には酷すぎるんじゃないか。
セアが真実を伝えたと言っていた。
また1人で、誰にも頼らずにいるのだろう。

今すぐにでも側にいき、抱きしめて、俺を頼って欲しい。
あの小さな体を俺に預けて欲しい。


でも、こんな体で行ったところで心配されるだけだ


「全て片付けて…いつか、きっと、迎えに行く。」


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