森の妖精と団長さん
「何か問題でも…?」
さっき肩にかけてくれた上着をとりあえず両手で引き寄せながら聞く。
森ではこんな格好で歩くのもしょっちゅうあったし、透けるほど薄いドレスでもない。
「んー、分かんないのか。…でも、とりあえず着ときな。じゃないと危険だからね。」
爽やかな笑顔を向けられ自然と顔が熱くなってしまう。
「君は王宮で働いているのかな?」
壁にもたれながら彼は優しく聞いてくれる。
「はい。少し前からエリックのお手伝いをさせてもらっています。」
「エリックの!ってことは薬師さん?」
「はい!もともとはシエルさんに無理言ってウィルの…怪我した騎士団の人を私が森で治療したので、完治するまで治療したいという私のわがままで連れて来てもらいました。」
「そうなんだ。シエルが直々に連れて来たってことは優秀なんだね?」
「え!あ、いや、そんなことはないです!」
「優秀なんだって!シエルは誰でも信用するタイプじゃないし、ちゃんと副団長として見極めたと思うよ?」
副団長…?
「あの、副団長とは…?」
「あれ、知らないの?シエルは騎士団の副団長だよ?」
え!!!
シエルさんが副団長!?
言われてみれば納得できるけど、、
「ちなみに俺はこの国の王子なんだけどね。」