森の妖精と団長さん
それっきり、お互いに無言のまま、何もする訳でもなく、ただ時間が過ぎていく。
「あの、団長さん。パーティー行かなくていいんですか?」
なぜここに連れて来たのか不思議だし、団長さんはずっと腕を組んで黙っている。
思い切って後ろにいる団長さんに話しかけてみれば、私をじっと見ていた。
「ルカだ。」
「え?」
「団長さんじゃない。ルカでいい。」
理解するのにしばらくかかったが、団長さんの名前がルカだと分かる。
「じゃあ、ルカさん。」
「…まあ、それでいい。」
ふっと顔を崩したルカさんに迂闊にも胸がキュンとなった。
「お前も…エマも行くか、パーティー」
「……え、え!?行けるんですか!?」
「隅の方にいればいい。行くぞ。」
スタスタ進むルカさんに駆け寄り、ワクワクが止まらないままパーティー会場に向かった。