森の妖精と団長さん
『お父様とお母様はいない….』
それだけが幼い私の記憶に残っていた。
何であの森にいたのか私も全く分からない。
気づけば森に1人でいて、生活していた。
小屋の中には保存の効く食料とベッド、そしてたくさんの本があった。
何もすることがなくて、何気なく本を開けば字が読めた。スラスラと読めることに疑問を持ちつつも、私は本から様々な知識を得た。
まずは文字の少ないものから読み、
そして、薬草というもの知り、小屋を出て探してみればいろんな種類の薬草が見つかった。
その時、外の世界を知って、自然に触れた。
ほとんどの時間を薬草の勉強にあてて、息抜きには薬草以外の本を読んでいた。
そんな生活をして何十年たったあの日
私はシエルさんたちに出会った。
「そうか。森にいる理由は知らないんだな。」
「ごめんなさい…。」
「何で謝る、謝る必要はない。エマは1人でずっといたんだ。人に頼る感覚がないのだろう。これからは俺に何でも言え。」
「!…はい!」
頼れる人がいるってなんて嬉しいことなんだろう。
初めての感覚に胸が高揚すると同時にくすぐったい気持ちにもなった。