森の妖精と団長さん
あれから彼の部屋で過ごす日々
夜になると彼は決まって私を抱きしめ口づけをする。でも、それ以上はしてこなかったのが救いだった。
そして、彼、ロイドはリリーさんのお兄さんだと知らされた。
『だから僕は君を知っていたんだ。リリーも言ってたよ。美しい薬師がいる。』と
ロイドが私を捕らえた理由は教えてくれなかったが、薬師ということは知っている。
何か薬師に関係することで捕らえたのかと思ったけど、私はただ部屋に閉じ込められているだけ。
あの時自分でなんとかするって決めたのに結局何もできない自分が情けなく、涙を拭うことさえもできなかった。
そしてその夜
「エマ、明日は忙しくなるから早く寝よう。」
部屋に戻ってきたロイドは、有無を言わさないような嫌な笑みを浮かべる。
私の腰に手を添えて、ベッドに向かい、軽くキスをされ抱きしめられながら眠りにつく。
明日…
ついに来たのか…とあのドレスを思い出す。
隣のロイドからできる限り距離を置き、静かに涙を流す。