愛の、愛の、愛の嵐
ああ。

あとちょっと。

あとちょっとで手が届く。

あ、なんて声掛けよう。

彼に会うのに必死で

そんなこと全然考えていなくって

今になってアタシは焦りだす。

はじめましてとか? 

そうだけどなんか違うな。

ストレートに好きです。

いきなり? 

さすがにそりゃないわ。

そんなことを考えながらも

アタシは全力疾走を続け、

もはや彼との距離は数メートル。

よし、とりあえず


「あっ、あの・・・」


あたりでいっか。

ちょいはにかみながら言うのがポイントね。

あと「・・・」も。

そっからあとはアドリブでなんとかなるっしょ。

だって彼とアタシは

運命という名の赤く太いワイヤー

(糸にあらず)

でがっつり結ばれているんですもの。

あ、もうすぐ手が届く・・・

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