愛の、愛の、愛の嵐
アタシは髪の毛を掴んでいる両手に

全身の力を込めてそいつの体を引きずり、

傍にあった柱に叩きつけた。

両手にいやな衝撃が伝わり、

ぐしゃん、

と湿った音がして

そいつは頭からシャワーのように

血を撒き散らせながら地面に倒れ込んだ。

悲鳴は遅れて上がった。

頭を押さえながら

自分で作った血の海の中でのた打ち回る仲間を

残りの2人は呆然と眺めている。

まだだ。

もう一押し。

アタシは立ち尽くす2人を無視して

倒れたままのつばさモドキに近寄ろうとした。

完全ダウンのモドキに

更なる追い討ちかけて、

コイツラの精神的支柱を完全に潰そうと考えた。

その足が止まった。



アタシの目の前で、

顔面からどばどばと血を垂れ流しながら、

モドキがゆっくりと立ち上がった。
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