愛の、愛の、愛の嵐
アタシはモドキに踊りかかった。

そうしないと、

恐ろしさに気が狂ってしまいそうだった。

モドキの制服の襟を掴むと思い切り引き寄せ、

別の生き物のように蠢きながら

不快な音を立て続ける唇めがけて

頭を叩き込んだ。

おでこに生暖かいものが触れ、

新しい血と弾けた肉が飛び出し、

アタシの顔にべしゃんと張り付くのを

いやにゆっくりと、

そしてはっきりと知覚した。

返り血で赤く染まった視界の中で、

ぐったりと崩れかかるモドキの笑いは

止まない。

アタシは何度も頭を叩き込む。

頭の中は空っぽでなにも考えられなかった。

ただ、この心の奥を黒く侵食するような笑い声を止めたい、

それしか考えられなかった。

凄まじい恐怖に駆られ、

アタシは我を失って同じ動作を繰り返していた。
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