愛の、愛の、愛の嵐
息を呑むアタシの目の前で

後ろに折れたモドキの頭が

徐々にせり上がり、

赤く爆ぜた肉のオブジェが、

口だけでニッと笑った。

今度こそ、恐怖で気が狂うと思った。

アタシは夢中で

モドキの力の抜けた体を突き飛ばすと

その場から駆け出した。


そのあたしの背中に

モドキの笑い声が追いすがる。
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