愛の、愛の、愛の嵐
FIFTH LOVE
ぶろろろろっと、

車体を揺らして走るバスの

心地良い振動に身を任せながら、

アタシは何とか落ち着こうと努める。

心拍数は跳ね上がったままで

心臓は痛いほど胸の中で暴れてる。

体に付いた血を拭ったハンカチを握り締めていた。

お気に入りのハンカチは真っ赤に染まっている。

荒い息をつきながら窓の外を窺うけど、

パトカーなんかが追いかけてくる様子は無い。

うまく巻いたようだ。

ふうとひと息ついて、

アタシはモドキのことを思う。

あいつ。

警察の人にちゃんと

病院に連れてってもらえればいいけど。

いらん抵抗とかしてそーだなあの体で。

ってかケガの具合は? 

もしかしてアタシ、

傷害の容疑で指名手配とかかけられちゃたり。

だってかなりムチャしちゃったもん。

やっべ、前科者? 

6時のニュースで流されて、

アタシったら有名人。
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