愛の、愛の、愛の嵐
腰の辺りでじっとりとした悪寒が続いてる。

寒くも無いのにアタシの体は

小刻みに震えていた。

モドキの掛けた呪いは

確実にアタシの心を蝕んでいる。

耳の奥で鳴り響く笑い声。



ドコマデモオマエヲオイカケテヤル。



いやっ!

叫び声を上げそうになり、

アタシは身をよじりながら目を開いた。

通路の反対側に座っていたお婆ちゃんが、

不思議そうな顔であたしを見ていた。


「どうかなさったんかいの?」


お婆ちゃんは優しい声でそう言うと、

にっこりと微笑んだ。

小さな目がへの字になった。


「なんか、怖いことでもあったんけ?」


「・・・」


アタシが口ごもってると、

お婆ちゃんは膝の上に乗せた巾着袋の口を開き、

中をごそごそ。

やがてアメチャンをひとつ取り出すと

アタシに差し出した。
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