愛の、愛の、愛の嵐
「ああ、きっとそれは桐山さんのことね。

 ウチの会社でそのくらいの年で

 そのくらいの身長でそのくらいの体型で

 そんな髪型の人は他にいないから。

 でも、あの桐山さんがねぇ。

 女の子を助けるだなんて。

 そんな風には見えないから、

 ちょっと意外。

 案外いいとこあるのね~、

 見直したわ。

 ああ、でも残念、

 タイミングが悪かったわ~。

 彼ね、

 ほんのついさきほど

 出張に出たばかりなの。

 今度のは長期出張になるからって、

 みんなに挨拶しに来てたんだけどね、

 今頃はもう、

 車で空港へ向かってると思うわ。

 わざわざ来てくれたのにね~ごめんねぇ。

 ただ連絡はあっちに着いてからも

 ちょくちょくあると思うから、

 よければ伝言伝えましょうか? 

 ただこちらに戻ってくるのは、

 はやくても3年後って言ってたわ。

 え、彼の出張先?



 ニカラグア」





・・・はい?

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