愛の、愛の、愛の嵐
周りでは

異国の言葉が飛び交い、

ディーゼル車が

凶暴なエンジン音を唸らせて通り過ぎてゆき、

道行く人々は好奇の表情を

その日焼けした顔に浮かべて

アタシを見る。

アタシは気にせずにじっと前を向く。

目の前には粗末なビル。

なにが書いてあるのか

全然わかんない文字が並ぶ中、

ひとつだけアタシの目に

強烈に飛び込んでくるその看板には。

㈱出川流通サービス。

出川! 

ステキ! 

うう、会いたかったわ・・・

アタシは思わず感極まって

泣いちゃいそうになる。

ふらふらとそのビルに吸い寄せられていく。

脳裏に浮ぶのは、

この一月ばかりの苦闘の日々。
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