愛の、愛の、愛の嵐
泣いてるアタシはよく見えない。

けど、彼だったらやばいじゃん。

せっかく命がけでここまで来たってのに、

きちゃないブサイクヅラ見られて

フラレちゃむごすぎる。

あわてて手の平で涙を拭う。

ザラッとした感触で気づく。

考えたら両手も砂埃でぐちゃぐちゃだから、

これって意味ナシ? 

てか逆効果? 

あわわ、どうしよ。

アタシはなにか顔を拭うものを探すけど、

この一ヶ月の過酷なサバイバルのお陰で

着てる洋服はすでにぼろぼろの無国籍テイスト、

ハンカチなんてもんとっくにねーよ。

うつむきあわてるアタシの耳に

近づいて来る足音が聞こえた。
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