愛の、愛の、愛の嵐
あれ、おっかしいなと思いつつ

アタシはうつむいてまた顔をごしごし、

涙を拭き取る。

まあそりゃそうよね

彼はアタシの事知らないんだから、うん。

あれ、でもさっき

アタシの名前呼んだじゃん。

そう思いながら顔を上げた。

露骨に迷惑そうな顔をした彼がいた。


「君さあ、いったいなんなの?」


吐き棄てるような声だった。

え?

事態の飲み込めないアタシは

なんで彼が不機嫌そうなのか解らず、

それでも精一杯印象良くしようと笑顔をつくり、

ぴこんと頭を下げて自己紹介をする。


「あ、あの、始めまして。
 アタシ恩田と言います。
 その、突然来ちゃってすみません、
 実は・・・」


アタシにみなまで言わせず、

彼は「マジでー!」とのけぞり、

わざとらしい大きなため息を吐いた。


「いやーマジで? 信じらんねー」


首を振っている。


「あの・・・」
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