恋のキューピッドは怪獣でした!
(ふわぁ~……)



門から母屋までが遠いよ。
お庭が広いよ。
そこらの公園よりもずっと広い。
まさか、これが個人のお宅だなんて…
あぁ、なんだかくらくらしてきた。



しばらく歩いてようやく母屋に到着。
純和風のお屋敷だ。
男性が、ポケットから鍵を取り出し、鍵を開ける。



(ぬお~~…)



これはどう見ても旅館でしょ!
ここが個人のお宅であるはずない。
私の部屋は、この玄関よりも明らかに狭いよ。
もう、何なの、このお屋敷!
私がパニックに陥ってる間に、彼は平然と靴を脱いで上がっていた。



「……何、突っ立ってんの?上がれば?」

「え?は、はいっ!」



私は反射的にそう答え、素早く靴を脱いで上がった。



(ひぇ~~…)



玄関から続くのは長い廊下。
しかも、その廊下は顔が映りそうな程、ぴかぴかに磨き上げられていた。



黙って前を歩く彼の後を、私も黙って着いて行く。
あまりにびっくりし過ぎて、何も言えない。



そして、彼はあるところで足を止め、障子を開けた。
こたつが置いてある居間っぽい部屋だ。



「まぁ、座ってよ。」

「は、はい。」

すすめられるままに、私は座椅子に座った。
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