恋のキューピッドは怪獣でした!




「つまらないんじゃないか?」

「そんなこと、ありません。
楽しいです。」

「……無理してるんじゃないか?」

「いいえ、本心です。」



次の日曜日…驚いたことに、また史郎さんからお誘いがあった。
どこに行きたいか?と聞かれたので、私はちょっと考えて、史郎さんが良く行くところに行ってみたいって答えた。
それは、ご機嫌取りでもなんでもなくて、本心だ。
史郎さんが好きなところ、好きなことを知りたいと思ったから。
史郎さんはだいぶ戸惑ってるみたいだけど、渋々(?)連れて行ってくれた。



最初に行ったのは、フィギュアの売ってるお店。
もちろん、レギラもいっぱい売っていた。
出掛ける前は、いまひとつ乗り気じゃなさそうに見えたけど、レギラを見たらだんだん元気になって来たっていうのか、史郎さんの目がキラキラし始めた。
史郎さんは、本当にレギラが好きなんだね。
新作のフィギュアが売っていたらしく、早速、買っていた。



「......最初にレギラをくれたのは、おじい様だったんだ。」



お昼ご飯を食べに行ったレストランで、史郎さんはレギラのフィギュアを見ながら、まるで独り言みたいにそう言った。



「そうなんですか?
それがきっかけで、史郎さんはレギラが好きになられたんですか?」

「そうなんだ。
実は、俺は幼い頃に両親を亡くしてね…
それで、それまでほとんど会ったこともなかった祖父母の元に引き取られたんだ。」

「え…?」



それは意外な話だった。
確かに家族のことは少し気になってはいたけれど、史郎さんにそんな悲しい過去があったなんて、ちょっとびっくりした。
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