恋のキューピッドは怪獣でした!
「おいおい、泣くようなことじゃないだろ。
確かに俺は、早くに両親を亡くした。
でも、そんなに不幸だったわけじゃない。
これでも、けっこう幸せに生きて来たんだけどな。」
そんなことはわかってるよ。
あんなに大きなお屋敷に住んで、働きもせず好きなことだけやってるんだから。
それで不幸だなんて言われたら、さすがに私も怒るよ。
じゃあ、なんでこんなに涙が出るんだろう?
しばらく考える……あ、そっか。
私の勝手なイメージのせいなんだ、きっと。
史朗さんは、本当に羨ましいくらい幸せに見えたから。
悲しいことや辛いこととは無縁みたいに思ってたから…だから、子供の頃の話を聞いて、思ってたのと違ってたから動揺してしまったんだね。
(あ……)
その時、私の頭をある想いがかすめた。
そうだ…まだあった。
私…自分のことと重ね合わせてたんだ。
お父さんが亡くなって、しばらくしたら見たこともない人が家に来るようになって…
そして、お母さんに、その人を『お父さん』と呼ぶように言われて…
あの時は辛かった。
私のお父さんは、亡くなったお父さんただ一人なのに。
お母さんが、お父さんのことを裏切ったような気分ににもなったし、とても悲しかったよ…
そんなわけだから、事情はかなり違うけど、何かわかるような気がするんだよね、史郎さんの気持ちが。
大好きで大切な人を亡くして、知らない人と暮らさなければならなくなった時のあの心細い気持ちが…
確かに俺は、早くに両親を亡くした。
でも、そんなに不幸だったわけじゃない。
これでも、けっこう幸せに生きて来たんだけどな。」
そんなことはわかってるよ。
あんなに大きなお屋敷に住んで、働きもせず好きなことだけやってるんだから。
それで不幸だなんて言われたら、さすがに私も怒るよ。
じゃあ、なんでこんなに涙が出るんだろう?
しばらく考える……あ、そっか。
私の勝手なイメージのせいなんだ、きっと。
史朗さんは、本当に羨ましいくらい幸せに見えたから。
悲しいことや辛いこととは無縁みたいに思ってたから…だから、子供の頃の話を聞いて、思ってたのと違ってたから動揺してしまったんだね。
(あ……)
その時、私の頭をある想いがかすめた。
そうだ…まだあった。
私…自分のことと重ね合わせてたんだ。
お父さんが亡くなって、しばらくしたら見たこともない人が家に来るようになって…
そして、お母さんに、その人を『お父さん』と呼ぶように言われて…
あの時は辛かった。
私のお父さんは、亡くなったお父さんただ一人なのに。
お母さんが、お父さんのことを裏切ったような気分ににもなったし、とても悲しかったよ…
そんなわけだから、事情はかなり違うけど、何かわかるような気がするんだよね、史郎さんの気持ちが。
大好きで大切な人を亡くして、知らない人と暮らさなければならなくなった時のあの心細い気持ちが…