恋のキューピッドは怪獣でした!
「これ使って。」

史郎さんが、私の前にハンカチを差し出した。



「す、すみません。」

「君は見かけによらず泣き虫なんだな。」

見かけによらず…とは酷いじゃない。
どうせ私はそんなしおらしいタイプには見えませんよ。



「あ……」

良く見たら、ハンカチもレギラの柄だった。
さすがは史郎さん!徹底してるね。



「あ、あの…もう大丈夫ですから。
ご心配をおかけしてすみません。
……つ、次はどこへ?」

「そうだな…じゃあ……」



着いた先はネットカフェだった。
ネットカフェなんて、初めて来たよ。
ちょっとドキドキだけど、なんでもないふりをする。



「DVDを見よう!」



そこはすごく狭い個室で、パソコンとゲーム機みたいなのがあって、そこに私達は並んで座る。
狭すぎて、なんか恥ずかしいっていうか…気まずいな。
平静を装うのが大変だ。
DVDって、やっぱりレギラの映画だよね?



「何か飲む?」

「えっと…それじゃあ、コーヒーを。」

「持って来る。」



あ、私…史郎さんに頼んじゃった!
本当は私が行くべきなのに…
でも、どこでもらうのかわからないし、今日は仕事じゃないから甘えておこう。



「お待たせ。」

「ありがとうございます。」

個室にコーヒーの香りが広がる。
モニターに映し出されたのは、やっぱりレギラだった。
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