恋のキューピッドは怪獣でした!
その晩、史郎さんに仕事のことを訊きたかったけど、手島さんがいるからなかなか話す機会がなくて…
気にはなりつつも、訊けずに悶々としながら耐えて…



そして、手島さんのいなくなった土曜日の夜…
ついに、仕事のことを訊ねる機会がやって来た。



「史郎さん…あの、仕事のことなんですが…」

「……ついにバレたね。」

史郎さんは、苦笑する。



「どうして話してくれなかったんですか?」

「だって、訊かれなかったし、俺の仕事なんか興味ないだろ?」

「そんなことないです。興味あります。
でも、確かにすごく意外でした。」

「そう言われると思ったよ。」

史郎さんは再び苦笑する。



「どうして、介護なんてされてるんですか?」

「うん……おじい様もおばあ様も、病気で亡くなったんだけど…
その時の俺には何も出来なかった。
何かしてあげたかったのに、俺はたまに話すことくらいしか出来なくてね。
二人がいなくなった時、ものすごく後悔が残ったんだ。
俺にせめて介護が出来てたら…
そう思ったら、もう止まらなかった。
すぐに介護の仕事に飛び込んだんだ。」

「……そうだったんですか。」
< 130 / 136 >

この作品をシェア

pagetop