恋のキューピッドは怪獣でした!




「本当に今日はありがとう。
君のおかげで、心がずいぶん軽くなった。」

カフェでコーヒーを一口飲んだ史郎さんが、静かな声で呟いた。



「いえ、私は何も…
でも、本当に良かったです。
絶対に、おじい様やおばあ様に伝わったと思います。」

「俺もそう思う。
都合の良いように考えてるだけかもしれないけど…
何か、そう思うんだ。
信じてもらえるかどうかわからないけど…話してる時、なんだかすごく体が温かくなって…
近くに君以外の人の気配を感じたんだ。」

「そうなんですね。」

それが本当のことなのか、史郎さんの気のせいなのかはわからない。
でも、そんなことはどうでも良いことだ。
大切なのは、史郎さんの心が軽くなったってこと。



「次は君の番だな。」

「私の?……お義父さんのこと…ですか?」

「……俺も一緒に行く。」

「えっ!?大丈夫ですよ。
一人で行きますから。」

「いや、行く。
君のご両親にお会いしたいんだ。」



史郎さん、何言ってんの?
私の両親に会いたいなんて、結婚の申し込みでもするつもり!?……なんてね。



「ど、どうしてですか?」

「君と結婚したいから。」

「え!?」



えっと…今、何か幻聴を聞いちゃったような気がするんだけど…



「あの……今、なんて?」

私は、そう言って、耳を澄ませた。



「だから、君を下さいって言いたいんだ。」

「え、えーーーーっ!?」



えっと、えっと…今日はエイプリルフールじゃないよね?
もしかして、史郎さんの冗談??
それとも、これは……夢?
私は頬を思いっきりつねった。
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