恋のキューピッドは怪獣でした!
「おっ、うまそう!」

「お口に合えば良いんですけど…」

さしむかいで食事をするのがなんとなく気恥ずかしい。
それに、なんだか試験を受けてるみたい。
料理の味にどんなジャッジが下されるか、すごく心配。
史郎さんはゆっくりとカレーを口に運んだ。
その様子を見ないように下を向きながら、私は無理やり平静を装った。



「あぁ…うまい!」

「本当ですか!?」

「うん、好きな味。」

嬉しい…!
料理をほめられるって、こんなに嬉しいことだったんだ。
あぁ、まずい。顔がにやけてしまいそう。
私は嬉しい気持ちを必死に押し隠して、カレーを口に運んだ。



「スープもうまいね。
玉ねぎの甘味が良く出てる。」

「よ、良かったです。」

もう良いよ。
これ以上ほめられたら、嬉しくて絶対にやけてしまうから。



「あ、あの…お弁当も食べましょうよ。
残したらもったいないですから。」

「あ、そうだな。」

ほめられて嬉しかったせいか、お腹が減ってたせいか、私はカレーライスとお弁当をぺろりとたいらげてしまった。
史郎さんもけっこうよく食べる。
同じく完食だ。
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