恋のキューピッドは怪獣でした!




(……ん?)



仕事から帰り、お屋敷に戻った私は、慌てて着替えてエプロンをかけ、台所へ駆け込んだ。
さて、夕飯の支度をしよう!と思った時、私はテーブルの上にメモをみつけた。



『今夜の晩飯はいらない。
今夜は帰らないけど、明日の朝ご飯は頼む。
それと、寝る前に雨戸閉めといて。』



え…、そうなの?
今夜は帰らないって…なんで??



でも、その答えを教えてくれる者はいない。



(ま、いっか……)



史郎さんがいないのなら、夕飯は簡単なもので良いね。
なんだか一瞬で気持ちの張りがなくなった。







(はぁ~~…)


プリンを食べ終えたら、なんだかすごく大きな溜め息が出てしまった。
結局、夕飯はお味噌汁と卵焼きだけ。
一人だって思ったら、全然やる気が出なくて…
それだけ作るのが精いっぱいだった。



史郎さんのために…っていう想いは、思ったよりも強いものだったんだね。
そのおかげで頑張れてたんだ…



テレビを見て、さぁ、そろそろ寝ようかと思った時、私は雨戸のことを思い出した。
そうそう、雨戸を閉めなきゃね。



しかし、それがこれまたけっこう疲れる仕事だと、閉めた後でようやく気付いた。
なにせ広いお屋敷だから、雨戸の数が多くて…
しかも、明日の朝はまたこれらを開けないといけないのかと思ったら、うんざりした。
< 35 / 136 >

この作品をシェア

pagetop