恋のキューピッドは怪獣でした!
(あ、そっか……)



史郎さんは、ずっとこの雨戸の開け閉めをしてたんだね。
本来なら、それも私の仕事なのに…
とはいえ、一応、仕事は来月からってことになってるけど…



なんだか寝付けない。
多分、その原因は……史郎さんが帰って来ないこと。



(何、つまらないこと考えてるんだ、私は…)



普通、外泊くらいするよ。
私だって、ここ数日、外泊してるんだから…って、事情はちょっと違うけど…



……きっと、今日はデートなんだよね?
そんなこと、本当はわかってた。
わかってて、気付かないふりをしてただけ。



だって、史郎さんはお金持ちだし、その上、若くてイケメンなんだもの。
彼女さんがいないはずがない。
そりゃあ、怪獣オタクっていうのはあれだけど…
そんなこと、ウィークポイントにもならないよね。



最初会った時は、いやな奴だって思ったけど…
接してるうちに、そんな印象はすっかりなくなった。
それに、考えてみれば、あの時の史郎さんが嫌な奴に思えたのは、元はといえば私に原因があるんだよね。
私が、大切な怪獣のオブジェを壊して、史郎さんを怒らせてしまったから…



きっと、普段の史郎さんは良い人なんだと思う。
だからこそ、ちょっと切ない。
嫌いなままでいられたら、ここでの生活ももっと楽しかっただろうに。


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