恋のキューピッドは怪獣でした!
「あのね……」

男性はすごく不機嫌な顔で、私を睨みつける。



「出来もしないこと、言わないでくれる?」

怒ってる…
とりあえず、男性がものすごく怒ってることはわかるけど…
何?出来もしないってことは、そんなに高価なものだったの?
私、えらいこと、言っちゃった??



「あの…一体、おいくらするもの…」

「だから…!」

なぜだかはわからないけど、男性はますます怒りの度合いを深めた様子…
どうして??



「全くもう…最悪だ。」

男性は誰に言うともなく悪態を吐き、歩き始めた。



「ま、待って下さい!」

そう…このままこの人を行かせるわけにはいかない。
この人の何かを壊したのは、私のせいでもあるんだし、私はどう見てもこの人よりも年上。
多少高くたって、弁償しなきゃ!



「……まだ何かあるの?」

「ですから…なんだかわかりませんが、あなたの持ち物が壊れたのはぶつかった私のせいでもあります。
全額とは言いませんが、半額は弁償させていただきます。」

半額なんてせこいかもしれないけど、万一、高かったことのことを考えて…
いやいや、そうじゃない。
私だけが悪いわけじゃない。
ぶつかったのはお互い様なんだから、折半っていうのが妥当だと思うから。
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