恋のキューピッドは怪獣でした!




その晩は、目が冴えてなかなか眠れなかった。
職場の人からは、花束どころかお疲れ様の言葉さえなかったっていうのに、史郎さんはケーキを買って来てくれた。
私なんかのことを気にかけてくれた。



(う~…史郎さん、優しすぎるんですけど…)



だめだよね…
こういうことされると、心がざわついてしまう。
私は大人だから、『私に気があるんじゃないの?』みたいな痛い勘違いはしないけど、それでもざわざわは止まらない。



めちゃめちゃ嬉しかったよ。
きっと、このことは、私、一生忘れないと思う。
記憶力は良い方じゃないけど、きっと今日のことだけは忘れない。
そのくらい、嬉しかったよ。



マジで明日から頑張ろう!
史郎さんに喜んでもらえるために、全力で働くぞ!!



あ、これは偏に良くしてくれた史郎さんへの感謝の気持ちで、恋愛感情とは違うから。
うん、そんなことは十分わかってる。
私は、もうじき大台に乗る大人の女…
そんな勘違いはしないから!
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